重森三玲(しげもり みれい)氏の出身地である岡山県吉備中央町で、氏が造った友琳の庭を見てきました。
友琳の庭(ゆうりんのにわ)
友琳の庭は、昭和を代表する作庭家・重森三玲氏によって造られた庭園です。
友琳の庭は、もともと昭和44年(1969)に京都市の誂(あつらえ)友禅工業協同組合の所有する「友琳会館」に作庭されました。
その後、友琳会館改築の折り、氏の郷土である吉備中央町(当時賀陽町)へ復元する条件で無償で町が譲り受け、平成14年(2002年)町役場賀陽庁舎の中庭に移築されました。
庭名は友禅染を完成させたといわれる宮崎友禅斎の「友」と友禅斎が影響を受けたとされる江戸時代前期を代表する日本画家・尾形光琳の「琳」を組み合わせて、三玲氏自らが名づけたそうです。
アクセス
岡山県のほぼ中央に位置する吉備中央町に延びる「竹荘バイパス」県道31号を車で走り、「友琳の庭」がある「吉備中央町賀陽庁舎」に到着。
(JR「岡山駅」から 国道53号~県道72号~国道484号~県道31号経由、約42.3キロ、車で約58分。)
車を庁舎下の駐車場に停めて、庭が造られている庁舎に向かいます。
庭があるのは、吉備中央町賀陽庁舎の中庭。
庁舎に訪れた人は、誰でも無料で観賞できます。
駐車場
「吉備中央町賀陽庁舎」の駐車場に駐車しました。
駐車料金は無料。
最寄駅・近隣交通機関から
- JR木野山駅から県道31号を経由して約12.6 km
- JR備中高梁駅から国道313号 と 県道31号を経由して約16.6 km
- JR「岡山駅」から 国道53号~県道72号~国道484号~県道31号経由して約42.3キロ、車で約58分。
- JR伯備線 備中高梁駅から路線バス吉川行きに乗車「新町」バス停下車 徒歩5分
地図
友琳の庭の景観
「友琳の庭」は、伝統的な設計で造られた枯山水庭園の中に現代的デザインの池庭が配された印象的な外観をもつ池泉鑑賞式庭園です。
モダンな佇まいの池は、束熨斗(たばねのし)模様に着想を得て造られたそうです。
池の水深は浅く、透明度の高い水が流れていました。
水が綺麗に保たれているのは、濾過循環しているからでしょう。
中庭からだけでなく 、庁舎の二階にある渡り廊下からも庭を見ることができます。
上から俯瞰して観賞すると、前衛的なデザインの庭の形がよりよくわかります。
北側の庭は「天の橋立」を見立てているとのことです。
日本伝統の枯山水庭園と幾何学模様にもみえる現代的デザインの池泉を組み合わせたこの庭が、まさか50年近く前に造られたとは驚きです。
どれほどの創意と革新性を持ち合わせていたら、当時これほど先鋭的でありながら伝統と調和した庭を造ることが出来るんでしょうか。
まとめ
「友琳の庭」は枯山水庭園の中に現代的デザインの池庭を配した、先鋭的デザインの池泉鑑賞式庭園です。
昭和を代表する作庭の大家である重森三玲氏は、前衛的な造りの日本庭園をいくつも残しています。
「友琳の庭」は氏の後期作にふさわしく、独創的な設計のなかにも日本の伝統美を落とし込んだ素晴らしい庭園でした。
なお重森三玲氏の出身地である岡山県吉備中央町には、氏が作庭した庭が複数点在しています。
「友琳の庭」と合わせて巡るのも面白いと思います。
これまでに訪れた庭園が見られる散策地
杉並区立角川庭園 ~角川書店の創設者の邸宅を整備した都市公園~
西福寺(敦賀市)の書院庭園 ~回廊で浄土経典を再現した名園~
(広島県)福寿院円通寺の庭園 ~「龍安寺」の石庭を参考に作庭された白波枯山水~
(入間市)豊泉寺 ~狭山茶の名産地にある本格的な禅宗式庭園~
基本情報
所在地
岡山県加賀郡吉備中央町豊野1-2
料金
無料
関連サイト
写真撮影日
2018年
これまでに訪れた岡山県の散策地
熊山英国庭園(岡山県赤磐市)でイングリッシュガーデンを見てきました。
みなとの見える丘公園(岡山県備前市)で眺望と夜景を楽しんできました。