東京都国分寺にある、都立9庭園の「殿ヶ谷戸庭園」に行ってきました。
アクセス
「殿ヶ谷戸庭園」には、JR「国分寺駅」から徒歩で向かいました。
JR「国分寺駅」南口に出て道路を渡り、東に2分程歩くと「殿ヶ谷戸庭園」に到着します。
駐車場
専用駐車場はありません。
近隣に民間の有料駐車場があります。
最寄り駅・近隣交通機関から
JR国分寺駅南口から徒歩2分
地図
殿ヶ谷戸庭園(とのがやとていえん)
「殿ヶ谷戸庭園」は国分寺崖線という段丘崖と、そこに湧く豊富な湧水を利用して造られた回遊式林泉庭園です。
この庭園は最初1913年(大正2年)から1915年(大正4年)にかけて、後の満州鉄道副総裁、江口定条の別荘として整備され、その後1929年(昭和4年)に三菱財閥創業家である岩崎家が別邸として買い取りました。
そして戦後、昭和40年代にもちあがった開発計画に対して保存を求める住民運動が行われます。
それを発端として1974年(昭和49年)東京都が買収整備した後、有料庭園として公開しました。
平成23年(2011)に国の名勝に指定されています。
庭園の景観
入園料150円を払い入園。
武蔵野の自然地形である段丘崖を活かして造られた「殿ヶ谷戸庭園」では、崖上と崖下で趣がことなる景観を見られます。
崖上は日当たりのよい、芝生敷の明るい庭園。
崖下は湧水池と樹林が広がる、落ちついた雰囲気の和風庭園となっています。
芝生敷き庭園
開放感がある芝生敷き庭園です。
植栽の中心になっているのは、イロハモミジと松。
西洋の風景式庭園の手法を取り込みつつ、日本の気候に合わせた木々が植えられています。
秋の訪問時には、ふんだんに植えられたイロハモミジが鮮やかに紅葉していました。
萩のトンネル
夏から秋にかけて花を咲かせる、萩のトンネルです。
晩秋の紅葉の時期には、葉が黄色く色付きます。
本館
レトロな佇まいの洋風の建物。
中は資料館になっています。(土足は禁止です。入口の下駄箱でスリッパに履き替えて上がりましょう。)
建物内には椅子が数脚あり、少人数なら腰を下ろして休憩することが出来ます。
次郎弁天池
東京の名水57選に選ばれている清水を湛える湧水池です。
周辺には、多くのモミジが植えられています。
崖下に造られた、日本庭園の景観の中心となっている泉です。
水源地
湧水量は一分間に平均37リットル。
水温は一年を通して15℃~18℃。
なんと縄文人も此処で喉を潤していたそうです。
紅葉亭
茶室がある数寄屋風建築です。
崖下の庭園を眺望できる位置に造られていて、「殿ヶ谷戸庭園」の代表的ビュースポットとなっています。
特に、紅葉の時期に此処から眺める庭園の景観は絶景です。
ししおどし
紅葉亭の脇に造られています。
竹林
崖下の園路脇には竹林が造られています。
殿ヶ谷戸庭園の雪景色
2018年冬、強烈な寒波が関東に到来して、首都圏一帯に近年珍しいほどの大雪を降らせました。
その日は夕方近くから時間が空いていたので、せっかくならどこかに雪景色を見に行こうと思い、駅から近く景観もよい「殿ヶ谷戸庭園」に行くことにしました。
ふりしきる雪の中、「殿ヶ谷戸庭園」に到着。
積雪量は当初の想像以上で、庭園一面銀世界。
段丘崖の上に造られた芝生敷きの庭園は、まるで雪原のようにすっぽりと雪に覆われていました。
用心して長靴を履いてきたので何とか庭園を散策できますが、普通の靴だと雪に埋まってしまって身動きが取れなかったと思います。
雪の降り始めには、まさかこれほど積もるとは思っていませんでした。
もちろん庭園を散策している間にも、雪はどんどんと降ってきてちょっとした吹雪のような状態になった時間帯もありました。
そんな時に有難かったのが、崖上の庭園脇にある本館。
なかは、ちょっとした資料館になっているんですが、この日ばかりは一時的な退避場所としてお邪魔させていただきました。
暖房がきいていて、腰を下ろせる建物があったのは大変ありがたかったです。
本館
回遊式日本庭園は四季を通じて楽しめる場所ですが、観賞目的で訪れる場合は冬は向かないと思っています。
植栽の落葉樹が葉を落とし、芝生を始めとした下草が冬の装いで茶色くなった景観に味気なさを感じるからです。
寂寥感が漂う冬枯れの木々に、「侘び」をみいだせる人もいるとは思いますが、自分は紅葉や新緑が彩る鮮やかな景観に魅力を感じます。
しかし、そんな自分でも庭園の雪景色は別で大雪が降ると、どこの庭園に行こうかと考えてしまいます。
雪景色にひかれる理由は幾つかありますが、まず稀な景観であるがゆえの非日常性ということがいえます。
かなり寒い地方でない限り、積雪が10センチを超えるような雪はそうそう降らないので雪景色となった庭園はめったに見られません。
ですから、庭園が雪化粧をして非日常的な空間になる雪の日は、やはり気分が高揚してきます。
そして冬の風情を堪能できる、というのも雪景色にひかれる理由の一つです。
冬の風物詩である雪が、庭園一面を白く染め上げている様には、春の新緑や秋の紅葉と同じような季節の彩を感じます。
自分と同じような考えで庭園に来る人は多いと思っていたので、訪問日に園内にほとんど人がいないのは意外でした。
「殿ヶ谷戸庭園」の立地の良さなら、カメラマンや物見高い観賞客でごった返している可能性もあると思っていたんですが、まあ見事に閑散としておりました。
庭園全体で、せいぜい5~6組だったでしょうか。
そのおかげで、銀世界となった静かな庭園をゆっくりと周ることができました。
庭園の雪景色はどこも綺麗でしたが、一番見事だったのはやはり「紅葉亭」から湧水池を望む景観です。
芝生庭園
竹林
紅葉亭からの眺め
森閑とした庭園の中で清水を湛える池と、枝先まで雪に白く染め上げられたモミジのコントラストは絶景といえる眺めでした。
まとめ
崖上に広がる芝生敷き洋風庭園と、崖下の湧水池を中心とした日本庭園。
崖上と崖下で、雰囲気のことなる景観を見られる庭園です。
JR国分寺駅から徒歩2分という立地にありながら街の喧騒があまり聞こえず、閑静な環境で庭園観賞が出来ます。
庭園北側を除くと、ビルや看板などの近代建築がほとんど視界に入らないのも庭園観賞をする上での利点だと思います。
また、庭園が雪化粧した冬景色も幻想的な雰囲気が漂っていて綺麗でした。
基本情報
所在地 | 〒185-0021 東京都国分寺市南町2丁目16 |
開園時間 | 午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで) |
休園日 | 年末・年始(12月29日~翌年1月1日まで) |
入園料 | 一般 150円、65歳以上 70円(小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料)【20名以上の団体】一般 120円、65歳以上 50円、※身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳または療育手帳持参の方と付添の方は無料 |
無料公開日 | みどりの日(5月4日)、都民の日(10月1日) |
年間パスポート | 一般は600円、65歳以上は280円【9庭園共通年間パスポート】一般は4,000円、65歳以上は2,000円 |
お問い合わせ先 | 殿ヶ谷戸庭園サービスセンター(受付時間:午前9時から午後5時まで)TEL 042-324-7991 |
関連サイト
写真撮影日
2017年12月
これまでに訪れた庭園